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【購入編】頭金っていくらぐらい必要なの?


店長の平野です。これも皆様から頻繁にいただくご質問です。

いきなりですが、よくネット記事等に出ている『頭金2割』という目安は大きな間違いです。疑問に感じる方もおられるかも知れませんが、実はこれ「約20年前までの住宅ローン審査規定」から派生している、今となっては間違った既成概念なのです。下記の例を読むとそれがよく分かります。

例1)年収1,200万円の新婚ご夫婦がマイホーム購入を
   考えていて、希望エリアは早稲田駅7分圏内、
   60㎡の2LDK・築年数は20年位という場合、
   価格相場は4,500~5,000万円ぐらいです。
   この方は年収が1,200万円ありますので毎月の
   住居費は20万円迄は大丈夫と考えています。
   仮に5,000万円の物件を
  「頭金0円/フルローン利用」で購入した場合、
   住宅ローンの返済は月々135,000円前後、
   管理費等を加えても月々160,000円前後の
   支払いになります。(35年返済)
  
   この場合、この方がご自身で考えている月額より
   既に4万円も支払いが低いので、敢えて頭金を
   入れて更に月額を抑える必要はないと言えます。

これは「頭金0円で購入しても全く心配がない、頭金を
増やす必要なというケース」です。
※別途、諸費用・仲介手数料は必要となります。


次は、逆に「頭金2割でも足りない」ケースです。

例2)世帯年収800万円のご夫妻が、マイホーム購入を
   検討なさっています。お子様もお二人居り、
   これから教育費もかかるし、月々の住居費は
   18万円以内に抑えたいと考えていたとします。

   将来、ご主人の親御様も同居する可能性があり、
   面積は90㎡以上欲しいと思っており、築年数は
   10年以内、エリアは神楽坂徒歩圏という希望
   だったとすると、価格相場は最低でも9,500万円
   ぐらいになります。

   そもそも住宅ローンは審査基準があり世帯年収の
   約8.5倍ぐらいまでしか組めませんので借りれる
   ローン金額はおおよそ6,800万円です。
   この時点で必然的に「欲しい物件を買う」為には
   頭金が約2,700万円必要となり、物件価格の28%
   の頭金を用意しないと買えない計算になります。

   また90㎡前後のマンションは管理費修繕積立金が
   月額35,000円はしますから住居費を月々18万円
   に抑えたいと思ったらローン返済は月々14.5万円
   までとなり、逆算するとローン利用額は5,420万
   円迄という計算になります。となると頭金は
   3,580万円(価格の37%)。それぐらい入れない
   と、後々苦労してしまうという計算になります。

例1のように『欲しいマイホームが、フルローン利用でもラクラク払える。』という場合には頭金を増やす
必要などなく、例2のように『欲しいマイホームが月々支払える金額では届かない』という場合には、その
穴埋めをするために頭金が2割以上必要になるケースもあるというわけです。

このように、本来(実際の購入現場では)頭金の額は、ご購入者が「毎月いくらまでに抑えたい」という
月々支払額から逆算しローン利用額を決め、その金額と物件価格に差があれば頭金で埋める。という考え
が一般的で、正解でもあります。

それなのに『頭金は2割』と、最初から目安があること自体が理に叶っていないというわけです。
聞いてみたら「そんなの当たり前」と感じると思いますが、それでも世の中に「頭金2割」という定説が残っているのには理由があります。

それは、昔(約20年前)の「住宅ローン審査の基準・融資規定」によるものです。

住宅ローンの金利は、その昔「長期プライムレート」に連動していた平成7年以前は3.5%~4.0%でした。
短期プライムレートに連動するように変わってからも2.475%という時代が約13年続きました。
今のように「全期間▲1.80%の優遇(0.675%)」などという水準になったのは、この5年ぐらいの話です。

仮に5,000万円の住宅ローンを借りた場合(35年返済)
A)金利が3.500%だと月々返済額は206,645円、
  35年の総返済額は約8,679万円でした。
B)金利が2.475%でも月々返済額は178,078円、
  35年の総返済額は約7,479万円です。
C)現在の0.675%だと月々返済額は133,696円、
  35年の総返済額も約5,615万円です。

同じ5,000万円のローン利用(借入)でも22~23年前と比べると月々返済額は約7万円安くなり、総返済額では約3,000万円も低くなっています。にわかには信じられない数字かと思いますが、これは紛れもない事実で、数字は嘘をつきません。

さて本題に戻ります。
融資を実行する金融機関からすると、住宅ローンは「儲からない融資商品」になってしまったわけですが、同じ金額を貸した場合の月々返済額は大幅に減りましたから、延滞リスク・貸し倒れリスクも低下したことになります。このような「低金利化」が進行するのと並行して審査基準・融資規定も当然変更されました。

平成7年頃までは、各銀行の住宅ローンの融資基準には「融資可能額は物件価格の80%まで」という規定がありましたが、徐々に「物件価格の90%まで」「物件価格の95%まで融資OK」と進み、今では、どの銀行も「物件価格の満額(100%)まで融資可」という規定に変わりました。なかには諸費用やリフォーム費用を上乗せして融資するケースまであります。

この「昔の規定(80%上限ルール)」が今でも「頭金2割が目安」という間違った認識に繋がっているというわけです。

これは、くれぐれも「頭金が少なくても買って大丈夫」という主旨ではなく「頭金はケースバイケース」が正解で、それは人(年齢・年収・希望物件)によって全く違う。という意味合いです。

頭金は『何割入れると良い』というものではなく、「月々無理なく払える住居費」と「欲しい物件の価格」に乖離幅(差)がある場合に必要となるお金。という考え方が正解です。

ここまでは「頭金2割は間違った既成概念、頭金はケースバイケースで違うもの」という基本部分です。
少々長くなってしまいましたが、通り一辺倒の説明では参考にもならないと思いますし、大切なお金・予算のことなので、どうぞご容赦頂き、読み進んで下さい。

ここからは、私が上記のご説明をした上でお客様から頂いたことのあるご質問とそのご回答を基にご説明していきましょう。

Q1)でも金利が勿体ないじゃないですか?
A1)はい。確かに金利は勿体ないですが、現在の金利水準は0.65%程度ですので頭金を100万円増やしても月々返済額は2,662円しか減らず、仮に500万円多く頭金を入れても月々返済額は13,310円しか減りません。月々13,310円は小さくないかも知れませんが、手元から出る500万円も結構大きいですよね。

   また住宅ローンを500万円借りた場合の35年の総返済額は約559万円で、35年間の利息分は約59万円。月々に換算すると1,405円です。500万円多く借りた場合でも毎月の金利分は1,405円なわけです。
   
   ここからが大事です。何も月々1,405円が大した金額ではないと言っているわけではなく、ご家族の生活にかかる「別の費用」のことも考えると、住宅購入の頭金はあまり大きく入れない方が良い。という意味合いです。とても簡単に言うと住宅ローンの金利は0.65%、返済は35年ですので100万円借りると月々2,662円・総返済額は112万円ですが、教育ローンなどは「金利2.5%・10年返済」ぐらいが平均ですので100万円借りると月々返済は9,426円で10年間総返済額は113万円に。車のローンは「金利2.4%・5年返済」ぐらいが平均ですので100万円借りると月々返済額は17,703円で5年間総返済額は約106万円になります。
   
   また教育費やマイカー以外にも、実家(自宅)をリフォームする、子供の結婚式に少し資金援助してあげる。または長い人生の間には、病気や怪我で一定期間仕事を休むこともあるかも知れません。これらのように、人生には「住宅」以外でも色々とお金が必要になります。その際、「住宅購入時に頭金を沢山入れてしまったので手元の現預金が少ない」となってしまうと、住宅ローンよりも金利・返済年数条件の厳しい「別のローン」を利用するはめになり、本末転倒となってしまうことも。
   
   購入する物件価格が「フルローンご利用」でも月々返済額は無理のない範囲だとしたら、それ以上頭金を増やす必要はないと思います。金利が勿体ないという先入観もあると思いますが、きちんと計算すると、さほど大きな差ではありませんし、それよりは今後急に何かあった時の為に手元資金はあまり使わずに残しておき、1年後にどうしても「ローンを減らしたい」という気持ちが強かったら、その時に繰り上げ返済をすれば良いと思います。「住宅ローン返済のことだけ」を考えれば頭金が多い(借入が少ない)方がオトクなのは当然ですが、住宅以外のことも総合的に考えると、決してそうではないという考え方です。

Q2)ウチはかなり預貯金が余っている。そういう場合は?
A2)はい、勿論「沢山借りた方が良い」ということではないので、余っているお金があるなら頭金で使ってしまって良いと思います。

   しかしながら、それぐらい預貯金がある方は、高額所得層の方か、又は貯蓄する習慣のある堅実派の方だと思いますので、多少「投資運用」「資産形成」にも関心があるのではないでしょうか?当社は金融商品などは扱っていませんが、最近はよく探せば比較的「元本減少のリスクが低い運用手法」で、年利1%以上の投資商品(手法)なら探せるかと思います。住宅ローンの金利は0.65%ですので、手元資金1,000万円を頭金で入れて「年0.65%」の金利を無しにする為に使うのであれば、その1,000万円を年1%以上で運用できれば、そちらの方がトータルでお得です。昨今は銀行や証券会社、投資顧問業など「お金や資産」に関わる仕事に従事なさっておられる方々が御自身でマイホームを買う際に、あまり頭金を入れたくない(なるべく融資を多く利用したい)というケースがとても増えています。こういう方々は、上記のような考え方をしているわけです。
   
   また都心部でマイホームを買う方の場合、5年後10年後に「貸して次の物件」「売って買換え」を想定なさる方も多いですよね。その際、2件目の住宅ローンになったりすると審査の結果、多少の頭金を要求されるケースもありますし、買換えの際にも手元に余裕資金がある方が選択肢も拡がり、買換えの順番なども自由度が高くなります。今回のご購入だけでなく、次に住み換えする場合までを考えると手元に資金を残しておく方が良い場合もあります。それらを一通り想定なさった上で、それでも預貯金にだいぶ余裕があるという場合には、頭金を入れた方が良いと思います。

Q3)今貯金が200万円しかない。頭金が500万円貯まってから買った方が良いか?
A3)これは断言致します。もしも現在そこそこ安くない「家賃」を払っている状況なら、今ある200万円の貯金で買った方が絶対に有利(堅実)です。(このご家族が、20代後半、お子様一人の3人家族、現在の家賃は16万円2DK、年収は600万円だったと仮定します。現在の賃貸も牛込柳町エリア)

   ●仮に頭金(貯金)をあと300万円増やしてからと考えた場合に、月々5万円貯金するとします。年間60万円の貯金で300万円貯まるのに5年かかります。
   ●ここが大事です。5年間の家計負担は「家賃16万円」+「貯金5万円」で月々21万円になります。そんな大変な思いをしてやっと頭金を300万円増やしても月々返済額はわずか7,988円しか減らないのです。
   ●今、欲しいと思う物件が「牛込柳町、徒歩5分、60㎡で築18年、価格は4,800万円」だとします。諸費用・仲介手数料・引っ越し代の合計で、今ある自己資金の200万円ちょうどぐらいです。住宅ローン保証料は「一括先払い」する余裕がないので「金利上乗せ型」を選択致します。それで4,800万円の物件フルローンで買った場合、月々ローン返済額は131,617円です。金利は0.825%(保証料分0.2%上乗せ)、35年返済です。ここに管理費修繕積立金の27,000円を足しても月々支払額は158,617円で、今の家賃と変わらない水準です。
   ●この資金計画に対し、毎月16万円の家賃を払いながら毎月5万円の貯金をして、それで貯まった300万円を頭金でいれても上記の月々支払からわずか8,226円しか減らないわけです。
   ●なんとなく不安だから頭金を貯める。その間は家賃と貯金で毎月21万円の家計負担。それならば今、頭金200万円で「月々158,617円」の住居費負担で買う方が、むしろ毎月5万円ラク。という計算になります。
   ●また、貯金する期間中に支払う家賃「16万円×12カ月×5年分」の960万円は、何も残らないものにムダに払う資金(経費)と言えます。上記フルローン4,800万円で購入した場合、毎月返済は上記の通りで、5年後のローン残債は約4,196万円。5年で604万円の残債が減るわけです。なにも残らない家賃に今後5年で960万円も払うなら、住宅ローンを早めに組んで5年で604万円残債が減った方が断然オトクですし、定年退職時や老後にしわ寄せが来ません。
   ●「頭金が少なくてもマイホームを買う」と言う言い方をしてしまうと、計画性が無い、先々大丈夫なの?という印象を持ってしまいがちですが、これも日本人特有の「借金嫌い」という文化から来ている先入観だと言えます。勿論、フルローン(少ない頭金)で買った場合には「月々支払いがキツい」と言う場合には無理して購入すべきではありません。エリアを変える、築年数を古いもので妥協するなど価格を抑える方向で考えるべきです。しかしながら「自己資金(頭金)が少ない」=「危険、計画性がない」という考えは必ずしも正しくなく、上記のように「頭金を貯める選択肢」がとても損してしまうケースもあるのです。

Q4)低金利といっても、先々は上昇するリスクがありますよね?
A5)はい。住宅ローンの金利については正しく知っている方は、全体の10%も居ません。これについてはだいぶ長い解説になりますので、別途「変動金利の上昇リスクは?」でご説明致します。ご興味がある方はそちらをご参照下さい。

このQ&Aはくれぐれも、どんどん買いましょう!急いで買いましょう!などという「売る為の意図」は一切含んでおりません。当社は売主販売会社ではなく仲介が主たる業務ですので、購入物件の選別も購入する時期も全てお客様のご意向に合わせサポートする姿勢を大切に取り組んでいます。それでも常日頃、上記のようなご質問にお答えした際に「だったら2年前のあの時に買ってればよかった」というお客様や「特に疑問も持たずに一生懸命貯金してました」という方。「本当は子供の小学校入学の前に欲しかったけど貯金が300万円しか無かったので、諦めて広めの賃貸に引っ越したんです。家賃が高いから貯金も増えないし。。」といった(少し)後悔のコメントをお聞きする機会があまりにも多いので、ホームページにもQ&Aで掲載致しました。住宅購入の資金計算はネットやサイトに出ている「一般論」ではご自身にとっての正解にはなかなか辿り着きません。当社では「今買いたい」「この物件に興味がある」という具体的なお問い合わせやオファーだけでなく、このようなご資金プランのアドバイスもきちんとご対応しています。どんなことでもお気軽にご質問・お問い合わせください。